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2019年10月 7日 (月)

ガス室で命を絶たれる「元飼い犬」たちの叫び

東洋経済オンラインからです.

 

動物愛護法の改正などを受けて、減少傾向にあるといわれる犬の「殺処分」。しかし現実はいまも1万弱もの犬たちが、毎年命を奪われています。中でも「老犬」を捨てる人は増加傾向にあるといいます。


そこで、この問題を取り上げた写真ルポルタージュ『老犬たちの涙 “いのち”と“こころ”を守る14の方法』から、飼育放棄される老犬たちの実情を紹介。本書の著者で、フォトジャーナリスト、さらには「どうぶつ福祉ネットワーク」の代表としても活動する、児玉小枝さんのメッセージをお届けします。

 

■高齢者による子犬の飼育がもたらす悲劇

 この世に生を受け、人間の家庭に迎え入れられてから十数年間。飼い主を信じ、飼い主を愛し、飼い主の幸せを願いながら、ただひたむきに生きてきた老犬たち──。

 彼らは、ある日突然、帰る家を失い、行政施設に収容されます。そこは大好きな家族のいない、見知らぬ場所──。

 「不用・不都合になったから引き取ってほしい」と飼い主に持ち込まれたり、迷子として捕獲されるなどして全国の行政施設に収容された犬は年間3万9327頭。そのうちの8711頭は、元の飼い主が迎えに来ることも、新たな飼い主に譲渡されることもなく、殺処分されました。

 

 近年、動物愛護気運の高まりとともに、民間ボランティアとの連携によって「殺処分ゼロ」を実現している自治体も一部ありますが、多くの施設ではいまだ“命の期限”が設けられ、引き取り手が現れにくい犬から順次、致死処分されているのが現状です。

 “譲渡候補犬”に選ばれやすいのは、健康で人なつこい子犬や若い犬たち。新たな飼い主が見つかる可能性の低い高齢犬は、収容されたが最後、真っ先に“殺処分対象”となってしまいます。

 

 これから紹介するのは、「老老介護の破綻」によって行政施設に持ち込まれたラブラドール・レトリバーのお話です。

収容房の近くを誰かが通るたび、施設じゅうに響きわたるほど大きな声で鳴き続けていたこの子は、12歳のラブラドール・レトリバー。

 「独り暮らしをしていた高齢の飼い主さんは重度の認知症で、犬の世話ができる状態ではなく、緊急入院。散乱した部屋に残されていたこの子もガリガリに痩せ、自力では立ち上がれないほど衰弱していました……」

 

 収容房の柵に皮がすりむけるほど顔をこすりつけ、大きな体を左右に揺らし、足を踏み鳴らしながら、悲痛な声で訴えます。

 おかあさん……どこにいるの? 

 ぼくはここにいるよ! 

 「少子高齢化が進む日本で、人間と犬の“老老介護”問題はますます深まっていくと思います。このままだと、これからも、収容される老犬は増え続けるんじゃないでしょうか。独居で、近所付き合いもほとんどない高齢者が、孤独やさびしさを紛らわすため、安易に犬を飼い始めてしまうケースも多いように感じます……。高齢の人には、自分に何かあったとき、犬だけが取り残されるリスクがないのかを、飼う前によく考えてほしい」と職員さん。

 

 東北地方のある自治体の行政施設と連携しながら活動されている動物愛護団体のスタッフさんにお話を伺いました。

■家族中で孤立してしまう高齢者も…

 「昔は大家族で犬を飼っていたので、高齢者が亡くなるようなことがあっても、残された家族で、その後の世話が可能だったんだと思いますが、うちの県の場合、若い人は地元を離れ、残された親は独り暮らし。施設に入ったり、入院の際には犬猫を手放すケースが多くなっていると思います。

 

 また、大家族で暮らしていても、家族の中で孤立しているお年寄りもおられます。私が相談の電話を受けたのですが、もう何年も前から体調が悪く、入院しなければならなくなり、家にももう戻れないとのこと。心の支えだった犬がいて、その子のために入院をしないできた。でも、もう限界で、犬を手放したい。家族がいるけれど、手放したい。なぜなら、家族のところに置いていくと、殺処分よりひどい目に遭わされるのが目に見えているから……。自分は自分の責任で、この子を保健所に連れていきます……と泣いておられました。

 

 また、親が独り暮らしで寂しいだろうからと、子どもが親に犬を買い与え、結局、親は世話ができずに手放したというケースもありました。そんなふうに、お年寄りが飼いきれなくなった犬が次から次へと行政施設へ持ち込まれ、殺処分されるのを目の当たりにしていますから、私たちの会では、60歳を超えた高齢の方には、子犬を譲りません。最後まで面倒をみられる老犬を家族に迎えていただきたいとも伝えます。

 でも、そうお伝えしても、中には、『あー!  年寄りにはもう犬は飼うなと言うんだな!』『自分は今は健康で何の問題もないのに、譲渡してくれない!』と、激怒する方もおられます……」

 

 次に紹介するのは、「引っ越し」を理由に行政施設に持ち込まれたトイプードルのお話です。

 この子は、飼い主の海外赴任を機に捨てられた14歳のトイプードル。飼い主は、同居していた親の元にこの子を残して引っ越しましたが、「鳴き声がうるさくて近所迷惑になる。噛み癖もあるし、これ以上、世話はできない」と、母親が行政施設に持ち込みました。

 「認知症も少しあるようですが、この子の立場に立って、鳴いたり噛んだりする理由を把握し、その原因を取り除いてあげれば状況は改善するし、世話はできると思います。ただ、『もともと子どもが飼っていた犬なんだから自分には責任がない』『手のかかる老犬の世話を押し付けられて迷惑だ』という思いがあり、早く手放したかったのでしょう……」と職員さん。

 

■「最期を看取るのがつらい」と施設に持ち込む飼い主

 最後に紹介するのは、「看取り拒否」を理由に行政施設に持ち込まれたポメラニアンのお話です。

 私がある施設を訪れたとき、

 「この子の最期を看取るのがつらいから」

 と、中年の女性が持ち込んできたのは、年老いたポメラニアン。

 おかあさん、まって! 

 いかないで! 

 どこにいくの!? 

 わたしもつれていって! 

 おいていかないで……

 キャリーケースの中から懇願するその子に背を向け、上品な身なりをした飼い主の女性は一度も振り返ることなく足早に去っていきました。

 この子はその後、ガス室で命を絶たれました。

 「私たちも、できることなら殺処分なんてしたくありません。ですが、犬を世話する職員数には限りがあり、収容スペースはつねに満杯。譲渡先が見つかりにくい老犬は、優先的に殺処分せざるをえないというのが私どもの施設の実情です。本来はどの子にも生きる権利があったはず……。命を絶つ瞬間はいつも心が痛みます。捨てる人間が悪いのに、なぜこの子たちが犠牲となって、殺されなくてはならないのかと……」

 

近畿地方の行政施設で働く、職員さんの言葉です。

 今回、3つのエピソードを紹介しましたが、みなさんは何を感じましたか? 

 老犬たちを殺しているのは、施設の職員さんではありません。それは、彼らの命に対する責任を放棄し、彼らを捨てた、飼い主自身だと私は思います。

 最後に、これからペットを飼おうという方にお願いです。

 どうか一度立ち止まって、考えてみてください。老犬たちはなぜ、愛する家族のもとで天寿をまっとうすることなく捨てられなければならなかったのか──。

 

 いまのあなたの年齢、家計、意識は、その子の生涯に責任を持ち、最期を看取れる状態にありますか? 

 捨てられた老犬たちの思いがあなたの心に届きますように。

 

児玉 小枝 :フォトジャーナリスト、どうぶつ福祉ネットワーク代表

 

 

~転載以上~

 

 

以下、児玉小枝さんのFBより。

https://www.facebook.com/sae.kodama.1

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